
離婚したいと切り出す前に気を付けたいこと
「一生この人に添い遂げたい」と愛を誓い合った夫婦でも、生活していくうちにさまざまな壁にぶつかることがあります。
些細な喧嘩から発展し「離婚」を考えざるを得ない状況に至ることもあるでしょう。
近年は、結婚した夫婦の3組に1組が離婚する時代と言われています。昔に比べると、夫婦関係が悪化しても無理に耐えることなく、離婚を選択する夫婦が増えているということです。
しかし「離婚したい」という気持ちが大きくなっても、衝動的にパートナーに対して離婚を切り出すのはおすすめしません。
一度でも離婚を切り出せば、夫婦生活において大きな変化をもたらすからです。ここでは、離婚したい気持ちをパートナーに切り出す前に気をつけたいことを紹介します。
思いのままに気持ちをぶつければ、すぐに夫婦生活を解消できる可能性もありますが、心身ともに大きなダメージを受ける可能性があることも把握しておきましょう。
離婚しない場合でも、一度切り出すと夫婦関係は修復しにくい
夫婦の話し合いの中で「離婚」というキーワードを安易に出してしまうと、元の夫婦関係に戻ることは困難です。
結果として離婚しない場合でも「離婚を考えた」という事実が残ってしまいます。
中には、夫婦の片方は離婚したいけれど、もう片方が離婚したくない場合があるでしょう。
このような場合も、離婚したくない側からすると「相手は離婚を望んでいる」という気持ちを拭えないまま生活していくこととなります。
離婚にするかしないかにかかわらず、夫婦の間で「離婚」のキーワードを出すときは「これまでの夫婦関係には戻れない」というほど、強い覚悟を持つことが大切です。
結果として離婚には至らなかったとしても、一度離婚届にサインをしてしまった場合は注意が必要です。再び「離婚したい」という気持ちが湧き起こった方が、離婚届を勝手に提出してしまう場合があります。
夫婦のサインが入った離婚届は、双方が離婚に同意していなくても、役所に提出されれば届が受理されるとともに離婚が成立してしまうのです。
話し合いの結果「夫婦関係を修復しよう」と考えていても、パートナーが離婚届を出してしまえば関係修復はできません。
離婚届が受理された後に「協議離婚無効確認」と呼ばれる調停や訴訟を裁判所に申し立てれば、離婚を取り消すことができます。
しかし、これは非常に複雑な手続きを要するため、役所宛てに行う「不受理申出」をしておく方がおすすめです。
「不受理申出」とは、勝手にパートナーが離婚届を提出しても、それを役所に受理させないための手続きを指します。
不受理申出書を提出しておくことで、勝手に離婚届を提出されても受理させず、双方が納得がいくまで話し合ってから離婚届を受理させるか否かを決めることが可能です。
離婚話が長引くと、心身に負担がかかる
離婚したいと切り出すときには、離婚話が中長期戦となることも覚悟しておく必要があります。
一度離婚の話し合いを始めると、話し合わなければいけないことや決めなければいけないことが多く、スムーズに進むとは限らないからです。
話し合いが夫婦間だけで済めばよいですが、とくに子供がいる場合、両家の親族も巻き込んだ話し合いになる可能性があります。巻き込む人が多ければ多いほど、さまざまな意見が飛び交うため考えをまとめる時間もかかりそうです。
さらに、夫婦間の話し合いだけで話がまとまらない場合は、離婚調停や離婚裁判に進みます。離婚調停や離婚裁判は、仕事や育児の合間を縫って行われ、長ければ離婚成立までに数年がかかるケースが珍しくないほどです。
夫婦関係において、離婚するか否かは非常に大きな問題なので、納得がいくまで話し合うには心身ともに相当なエネルギーを使います。
離婚を切り出したからといって、夫婦関係がスムーズに終えられるわけではなく、切り出す前よりも多大なエネルギーを要することを知っておきましょう。
離婚する前に考えておくこと
いざ離婚したいと思いパートナーに離婚を切り出す前に、どのようなことを考えておけばよいのでしょうか?
離婚すれば、夫婦関係が解消されるとともに、日常生活のあり方が変わるので、慎重に検討することが大切です。
ここでは、離婚する前に考えておくこととして「お金の問題」「子どもの問題」を大きく紹介します。これらについては、自分自身でも考えておくとともに、離婚する前にパートナーと意見をすり合わせることも大切です。
一度離婚を考えると「早く別れたい」という気持ちが先行してしまうことがあるでしょう。
しかし、お金についても子どもについても、離婚後の生活に大きな影響を及ぼすテーマです。冷静にこれらテーマに向き合い、自分自身の考えを固めておいてください。
お金の問題
結婚すれば、それぞれが所有していた資産は夫婦共通のものとみなされます。
資産の中でもとくに重要なのがお金の問題です。夫婦生活で蓄えてきたお金をどうするのか、離婚後の生活費はどうするのか、などが大きなテーマとなるでしょう。
離婚する前に考えておくべきお金の問題は、家庭環境によって異なります。ここでは、主な問題をピックアップしたので、一つずつチェックしてみてください。
離婚後の生活費をどうするのか
結婚生活ではお互いの収入で生活ができますが、離婚後は、基本的には自分自身の収入で生活することになります。
しかし、共働きの夫婦ではなく、片方が専業主婦(夫)である場合や、パートタイマーであった場合、離婚後すぐに生活できるだけの収入が得られるとは限りません。
そのため、離婚後の生活費をどうするのか、お互いの納得のいく方法を考えましょう。まずは、最低限の生活費を洗い出してみることをおすすめします。
最低限必要な生活費を元に、どれだけの収入があれば生きていけるのかを検討してください。
慰謝料を請求するかしないか
離婚の理由はさまざまですが、法定離婚事由に当てはまる理由があれば、パートナーに慰謝料を請求できます。
離婚の理由を元に、慰謝料を請求するかしないかも考えておきましょう。
法定離婚事由とは、夫婦の片方がいずれかの項目に該当している場合、離婚を拒否しても離婚が成立するという規定です。これは、民放の第770条で定められています。
“第七百七十条 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。”
一 配偶者に不貞な行為があったとき。
配偶者が配偶者以外の異性と性的な関係を持った場合、不貞行為として認められます。不定行為とは、一般的にいう不倫のことです。
メールやSNSでのやりとりだけでは不貞行為として認められることが難しく、性的関係を持っているかが重要なポイントになります。
二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
夫婦関係が破綻してもよいという気持ちで、夫婦の義務を放棄することです。
民法第752条では「夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない。」と定められていますが、これを故意に怠ることが当てはまります。
三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
配偶者が生きているのか、死んでいるのかが3年以上わからない場合に離婚が認められます。
これは、配偶者と音信不通状態であっても、住民票があるなど生きていることが明確な場合は認められません。
生死が明らかでない配偶者が持つ財産を相続したい場合は、あらかじめ民法30条で規定されている「失踪宣告」をしておくとよいでしょう。
生死不明状態が7年間続くと、法律上行方不明者が死亡したものとして「失踪宣告」により相続人には財産が相続されます。
四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
配偶者が精神病の適切な治療を受けても、回復の見込みがない場合も離婚が認められます。
精神病というと、パニック障害やうつ病を思い浮かべる方がいるかもしれませんが、これらは治療によって回復が見込まれる精神病として、現時点では離婚自由として認められていません。
五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。“
ポイントは、裁判所において客観的に離婚理由が「重大」と認められるかです。
離婚理由の主なものに、性格の不一致がありますが、現時点では性格の不一致に関しては修復の見込みがあると考えられ、離婚理由として認められていません。
裁判所が、婚姻を継続できないほどの重大な事由として認めている問題例は、下記の通りです。
- ドメスティック・バイオレンス
- モラルハラスメント
- 虐待
- 性の不一致
- アルコール・薬物依存など
実際に慰謝料を請求するかしないかは、夫婦間の話し合いによって決められます。
慰謝料の金額や支払い時期、支払い方法なども自分たちで決められますが、離婚話の中でこれらを冷静に話し合うのは難しいことです。
夫婦間での話し合いがスムーズにいかず、慰謝料請求や請求金額の決定を裁判に持ち越すケースがあります。
裁判では、離婚理由が法定離婚事由に当てはまっているという証拠が必要です。どれだけパートナーの言動で「辛い思いをした」「浮気現場を目撃した」といっても、それだけでは有効な証拠になりません。
精神的な辛さについては、医師からの診断書などが証拠として認められます。
また、浮気現場については、写真や動画が証拠として認められるので、それらを抑えることが必要です。
しかし、浮気現場などの証拠を集めても、どのようなものなら証拠として認められるのか、一般人ではなかなか判断ができません。
証拠があっても、裁判でどのように主張し慰謝料を請求すればよいかわからない方がほとんどでしょう。
慰謝料の請求において、ご自身で対応する限界を感じたら、弁護士に相談することがおすすめです。法律の専門家である弁護士のサポートがあれば、慰謝料請求をスムーズに進められます。
財産分与を計算しておく
結婚して夫婦生活を送る中で手に入れた財産は、夫婦共通の財産として認められます。
これは、片方が専業主婦(夫)で、実際に収入を得ていたのが片方だけだとしても、夫婦で協力して築いた財産として認められるので、離婚後にこれらをどうするか検討が必要です。
離婚にあたり、夫婦共通の財産を分け合うことを財産分与と言います。財産分与は、共通の財産を今後はどちらがどれだけ保有するかを決めていく作業です。
財産分与は、離婚にあたっての義務ではなく、実際には行わなくても離婚できます。
しかし、離婚後に財産についての話し合いを行わなくてよいよう、離婚前に話し合っておくのがおすすめです。
財産分与の対象となるのは、婚姻後に築いた財産で、主に次のものが対象になります。いずれも、婚姻後に築いた分が対象となり独身時代に築いた財産は含まれません。
- 現金
- 不動産
- 有価証券
- 家具家電
- 退職金
- 年金
- ローン
上記は、財産分与を検討する上で一つずつ確認したいものです。
正確に財産分与を行うためにも、ご自身が話し合うべき財産のチェックリストを作ってみてください。あらかじめ検討事項をリストアップしておくことで、話し合いがスムーズに進むでしょう。
また、離婚後に「これについて話忘れていた」という漏れを防ぐことにも役立ちます。
実際に、どの財産をどちらがどれくらい保有することにするかは、夫婦間の話し合いで決められます。まずは、自分自身がどれほどの財産を保有したいのかを明確にした上で話し合いに臨むとよいでしょう。
年金分割はどうするのか
財産分与の対象となるものに、年金が挙げられます。
年金分割では、結婚生活を送る中で納めた年金記録を夫婦で分割することが可能です。なお、年金分割は、加入している年金が厚生年金である場合のみ申請できます。
たとえば、夫が企業に勤めて妻を扶養していたとします。この状態で離婚すると、妻自身は厚生年金を納めていないので、将来年金が受け取れない可能性があるのです。
しかし、年金分割を行うことで、離婚後も扶養に入っていた期間の年金記録を残し、年金を受け取れるようになります。
あくまで、年金分割を受けられるのは、夫の扶養に入っていた場合のみです。妻が夫の扶養に入っていなかったり、自営業として年金を納めていたりした場合は、年金分割について検討する必要はありません。
年金分割を行う場合は、年金事務所での手続きが必要です。離婚が成立してから2年以内に手続きをする必要があるので、忘れずに手続きを行いましょう。
子どもの問題
夫婦が離婚に向けての準備を進めるだけでも非常に大変ですが、子どもがいる場合は子どもの問題も検討しなければなりません。
ここでは、離婚するにあたって考えるべき子どもの問題を紹介します。
親権者を夫・妻のどちらにするのか
子どもがいる場合、子どもの親権者を決めなければ離婚が成立しません。親権者は、夫か妻のどちらかに必ず設定する必要があります。
親権者がどちらになるかは、夫婦間で話し合ってもなかなかスムーズに決まらないケースが多く、裁判に持ち込まれることもあるのです。
親権者の決定にあたり、裁判では、夫か妻のどちらが子どもの親権者になるべきか、さまざまな観点から判定されます。
最も重要な観点は、親権が子どもの利益のために行使されるかどうかです。主な判断材料として、以下のようなものがあげられます。
- 子どもの面倒が見られるか
- 代わりに面倒を見られる存在がいるか
- 親権者としての経済力があるか
- 親権者の年齢や健康状態が妥当か
- 居住環境、教育環境はどうか
- 子どもの人数や成長度合い
- 生活の変化による子どもへの影響度合い
- 子ども本人の意思
基本的に、子どもは親権者と同居して新たな生活をスタートすることとなります。また、両親が離婚したとしても、子ども本人の戸籍や姓は、所定の手続きをするまで変更されません。
子どもの戸籍が父親を筆頭者とするものであれば、離婚後に「親権者は母である」という旨の記載がされます。
そのため、親権者が母親になった場合、母親は父親を筆頭者とする戸籍から抜けますが、子どもの戸籍はそのままになるため、母と子どもで別の戸籍になるのです。
母親が子どもの親権者となり、子どもを自分の戸籍に入れたいときはどうすればよいのでしょうか?
この場合は、まず自分を筆頭とする戸籍を作成します。そして、家庭裁判所にて、子どもの姓を母親と同じものに変更し、変更が許可され次第、自分の戸籍に子どもを入れられるのです。
親権だけでなく、姓や戸籍も移動させる場合には、所定の手続きが必要なことを覚えておきましょう。
養育費をどうするのか
子どもを連れて離婚した後の生活には、自身が生きていくのに必要なお金だけでなく、子どもを育てるためのお金が必要です。
子どもを育てるのに必要なお金は、親権者が相手から受け取ることができます。
ご自身が親権者となる場合は、子どもを自立させるまでに、いつ、どれくらいのお金が必要になりそうかを洗い出しておくことが大切です。
養育費については慰謝料と同じように、夫婦間の話し合いで決められます。話し合いでは、最低限以下の項目を決めておくとよいでしょう。
- 養育費の支払額
- 支払時期
- 支払い方法
- 支払い年数
夫婦間で自由に養育費の金額などについて話し合えるとはいえ、養育費の相場がわからなければ、話し合いをスムーズに進めるのが難しいことです。
養育費については、両親の収入や子どもの年齢、子どもの人数を考慮した相場があるので、まずは相場をチェックするのをおすすめします。
養育費に関して決定した内容は、公正証書として文書に残しておきましょう。養育費の支払い金額や時期について、口約束だけでは途中で支払いが滞るリスクがあるからです。
決定事項を公正証書として残しておけば、万が一支払いが滞った場合でも公正証書の内容に基づき強制的に支払わせることができます。
また、養育費だけでなく、子育てに関するさまざまな手当てや助成金を活用するのもおすすめです。ここでは、主な手当てや助成金の概要を紹介します。これらの制度は自治体によって内容が異なるので、ご自身がお住まいの自治体で提供されている制度もぜひチェックしてください。
<児童育成手当>
シングルマザーやシングルファザーの家庭、両親のどちらかが重度な障害を持っている家庭に対して、東京都が独自で実施している制度です。
子供が18歳になってから最初の3月31日まで、月額1万3500円が支給されます。
<就学援助制度>
就学援助制度は、子どもが公立の学校に通う場合に受けられる、文部科学省が管轄する制度です。下記のようなものにかかる費用の援助が受けられます。
学用品費/体育実技用具費/新入学児童生徒学用品費等/通学用品費/通学費/修学旅行費/校外活動費/医療費/学校給食費/クラブ活動費/生徒会費/PTA会費/卒業アルバム代等/オンライン学習通信費
面会交流はどのようにするのか
面会交流とは、離婚後に親権を持たない方の親が、子どもと交流する機会のことです。
離婚によって夫婦関係は解消されますが、親子の関係が切れることはありません。福祉の観点からも、子どもにとって両親との関係を維持することは重要なことと考えられています。
そのため、離婚して親権を持たなくなっても、面会交流によって子どもと会う機会を求めることが可能です。
面会交流を求める権利は親権を持たない親にあり、親権者が一方的に面会交流を拒絶することはできません。
面会交流については、離婚調停や裁判で内容が明確にされる点でもあります。
しかし、中には離婚調停や離婚裁判で面会交流の実施について合意した場合でも、親権者が一方的に面会交流を拒絶するケースがあります。
この場合、拒絶された側は面会交流が実施されないことに対して損害賠償を請求したり、強制的に実施したりすることが可能です。
面会交流についても、慰謝料や養育費と同様に、夫婦間で話し合って取り決めることができます。離婚後のトラブルを防ぐためにも、最低限以下の内容を決めておくとよいでしょう。
- 面会場所
- 面会日時
- 頻度
- 連絡手法
- 学校行事への参加
- 話題の制限
- 面会交流にかかる費用負担
離婚する3つの方法
パートナーに離婚を切り出し、離婚前に考えておくべきことも整理できたら、どのような方法で離婚するかを検討しましょう。
離婚するには3つの方法「協議離婚」「離婚調停」「離婚裁判」があります。
現状の夫婦関係や話し合いの進み具合を参考にしながら、どの方法が望ましいか選択することが大切です。
ここでは、それぞれの離婚方法がどのようなものか、概要を確認しておきましょう。
協議離婚(話し合い)
協議離婚とは、夫婦間の話し合いをもって離婚を成立させることです。片方が離婚を切り出してパートナーが離婚に合意した場合は、スムーズに離婚が成立するでしょう。
パートナーがすぐには離婚に応じなくても、夫婦間での話し合いの結果、離婚に合意した場合も離婚届の提出のみで離婚が成立します。
離婚調停や離婚裁判に比べると、時間や費用がかからないことから、日本では協議離婚を選択する夫婦が圧倒的に多いです。
離婚調停
夫婦間で話し合いが進まず、離婚をするか否かや話し合うべき内容について合意が得られない場合は、協議離婚が難しくなります。協議離婚で埒が明かない場合に取るべき選択肢が、離婚調停です。
離婚調停では、夫婦が直接話し合うことはありません。離婚調停を申し立てると、2人の間に「調停委員」を介して話し合いを続行することとなります。
離婚調停は、パートナーに直接顔を合わせなくて済みますが、心身のエネルギーを消費することに変わりありません。
離婚調停は、主に家庭裁判所を通して行われ、調停委員との話し合いは、基本的に平日の裁判所で行われます。
調停は月に1回ほどのペースでしか行われないので、離婚が成立するまで、数ヶ月や数年に渡り裁判所に通う必要があるのです。
平日に仕事がある場合は、調停のスケジュールに合わせて仕事を休まなければならないので、生活に支障をきたす可能性は大いにあります。
このことから、家庭裁判所での離婚調停を行わず、話し合いにとどめて離婚を成立させたい夫婦が多い現状がうかがえるでしょう。
離婚裁判
協議離婚や、家庭裁判所での離婚調停を経ても離婚に至らない場合は、離婚裁判を行う流れになります。
離婚裁判は、離婚調停と同じように月1回程度のペースで行われることが多いです。離婚調停と同様に、裁判のスケジュールに合わせて仕事を休む必要が出てきます。
離婚裁判では、裁判官から幾度か「和解」を促される場面があり、離婚裁判における和解とは離婚に合意するということです。両者が和解に合意すると、和解調書の作成をもって離婚が成立します。
しかし、離婚裁判のうちに和解ができなければどうなるのでしょうか?
離婚裁判で和解ができない場合は、裁判所が離婚できるか否かを判決します。これは、和解離婚に対して裁判離婚(判決離婚)と呼ばれる離婚の方法です。
離婚したいなら協議離婚がおすすめ
離婚するには3つの方法「協議離婚」「離婚調停」「離婚裁判」がありました。
中でも、おすすめの方法は協議離婚です。
それぞれの方法にメリット・デメリットがあるとはいえ、日本の夫婦のほとんどが協議離婚で離婚を成立させている背景からも、協議離婚にあらゆるメリットがあることがうかがえるでしょう。
ここでは、協議離婚のおすすめポイントを3つ紹介します。協議離婚についての理解を深めるのに、ぜひ参考にしてください。
時間と費用を抑えられる
協議離婚なら、離婚調停や離婚裁判よりも時間や費用をかけずに離婚を成立させられる可能性が高いです。
離婚調停や離婚裁判は、夫婦が直接顔を合わせて話し合うのではなく、第3者を交えるため、月1回程度でしか話し合いを進められません。
しかし、協議離婚なら、離婚を切り出したその日から、毎日でも週に1回程度でも、お互いのスケジュールに合わせて話し合いを進められます。平日に裁判所に行く必要もないので、仕事への支障も最小限に抑えられるでしょう。
また、夫婦間での話し合いでお金や子どもの問題について合意が得られれば、弁護士に依頼する必要もありません。
離婚話を進めるために弁護士に依頼すると、最低でも十数万円のまとまった金額が必要になります。
弁護士に依頼せず、自分たちだけで離婚を成立させられれば、大幅に費用を抑えられるでしょう。
離婚届にサインするだけで離婚が成立する
協議離婚で必要な書類は、夫婦と証人のサインが入った離婚届のみです。
離婚調停や離婚裁判に進むとなると、調停や裁判を行うための手続きに必要な書類を用意しなければなりません。
離婚話と並行してさまざまな手続きを行うのは、かなりエネルギーを消費することでしょう。
各種手続きに必要な書類の準備に比べると、離婚届の作成はいたって簡単なものです。夫婦のサインと、満20歳以上の証人2名のサインさえあれば届が受理されます。
また、離婚届は、直接役所に持ち込んでもよいですが郵送することも可能です。ご自身にとってベターな方法で提出してください。
慰謝料や財産分与などの取り決めを柔軟に決められる
離婚にあたっては、夫婦間で慰謝料や財産分与など、どちらがいくらを保有するか決めなければなりません。
慰謝料の請求金額や財産分与の割合の決め方に明確な基準はないので、話し合いを通して柔軟に決めることができます。
夫婦間の話し合いで慰謝料や財産分与について決めた条件は、公正証書として残しておきましょう。
慰謝料の金額や支払い時期、支払い方法などを口頭で約束しただけでは効力はありません。話し合いの内容を書面で残しておけば。後のトラブルを防ぐことにも役立ちます。
たとえば、万が一、取り決めた条件通りの支払いが行われなかった場合、公正証書をもとに裁判を起こさずとも強制執行手続きが可能です。
強制執行手続きとは、支払いがされるまで、給料などを差し押さえられることをいい、支払いがされない問題を解消することができます。
公正証書の作成は、弁護士でなくても行えるので、まずはお住まいの近くの公正役場を探してみましょう。
費用はかかりますが、公正役場に取り決めた内容を記載した書面を持ち込めばよいので、難しい手続きは必要ありません。
協議離婚ができなさそうな場合
離婚を切り出してから協議離婚を目指す夫婦が多い中で、どうしても協議離婚では話が進まないことがあるでしょう。
そのような場合は、離婚調停や離婚裁判を進める必要があります。
話合いを進めているうちに、離婚理由が解消されて夫婦関係が修復すればよいですが、現実的にはなかなかうまくいきません。協議離婚ができない場合の離婚方法も視野に入れておきましょう。
離婚調停か離婚裁判になる
主に家庭裁判所を通して行われる離婚調停は、基本的に平日の裁判所で行われます。調停委員を介しての話し合いになるので、お互いが顔を合わせる必要はありません。
ただし、調停は月に1回ほどのペースでしか行われないので、離婚が成立するまで、数ヶ月や数年の間、裁判所に通う必要があります。
離婚調停が行われる日には、必ず裁判所へ行かなければなりません。
もし調停が行われる日時に裁判所に行かなければ、過料などのペナルティが与えられます。仕事やプライベートの都合よりも最優先すべき事項となるため、調停期間中はスケジュール調整に苦慮する可能性が高いです。
離婚調停では、調停委員が夫婦の間を取り持つものの、離婚するか否かを決定するのは当事者たちに委ねられます。
しかし、調停でも離婚するか否かや慰謝料請求などにおいて合意が得られない場合は、離婚裁判に進みましょう。
離婚裁判も、離婚調停と同じように月1回程度のペースで行われることが多いです。
離婚調停と同様に、裁判のスケジュールに合わせて仕事を休む必要が出てきます。離婚裁判に進むとなると、法的な手続きが絡んでくるため、裁判の準備を自分自身で行うのは非常に難しいでしょう。
離婚裁判に臨むにあたり、サポートしてくれる弁護士に依頼するとなると、協議離婚や調停離婚と比較すると多額の費用がかかります。弁護士との話し合いや、主張したいことのための証拠集めなど、相当な時間と労力も必要です。
協議離婚で双方の合意が得られない場合、離婚調停や離婚裁判も難航する可能性があります。
特に、離婚裁判まで至る場合は、弁護士に協力を依頼する方がスムーズに解決に近づけるでしょう。
裁判の際は離婚に強い弁護士に相談しよう
夫婦間の問題はプライベートなことであり、かつデリケートな問題です。そのため、第3者に話すことに対し、気が進まない方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、離婚裁判まで進むとなると、なかなか自分自身の力だけでは前に進めない可能性が高いでしょう。
離婚裁判の際は、離婚に強い弁護士を味方につけるのがおすすめです。
離婚に強い弁護士なら、あらゆる夫婦の離婚問題に直面した経験をもとに、的確なアドバイスをくれるでしょう。弁護士は法律の専門家なので、裁判で有利に立てるようなサポートもしてくれるはずです。
ただし、弁護士に依頼するとなると、最低でも十数万円というまとまった金額が必要になります。
離婚後の生活のことを考えると、多額の費用を払うことを躊躇する方は少なくないでしょう。実際に弁護士に依頼するかどうかは、以下のチェック項目をもとに検討してみてください。
自分自身が裁判に詳しいか
離婚調停は、裁判に比べると必要な手続きが少なく自分だけで対応できる可能性が高いです。
しかし、裁判となると法律用語が多数飛び交う上、必要な手続きの難易度も上がります。
裁判に対する理解が曖昧だと、知らないうちに不利な立場に立ってしまう可能性は否めません。裁判に詳しい弁護士に頼るのが、結果として自分の身を守ることに繋がるでしょう。
パートナーが弁護士をつけているか
離婚裁判を行うことが決まったら、パートナーが弁護士をつけているか確認してください。
自分自身が裁判に詳しくないうえ、相手には弁護士がついている状況だと、かなり不利な立場になる可能性が高いです。
法的効力を有する証拠を持っているか
法定離婚事由に当てはまる内容を離婚理由として裁判を行うなら、法的効力を有する証拠が必要とされます。
たとえば、パートナーの不貞を離婚事由とする場合には、パートナーの浮気現場を抑えた写真や動画を持っておかなければいけません。
せっかく裁判を行っても、法的効力を有する証拠が伴わなければ、勝訴することが難しくなってしまいます。証拠を集め、集めた証拠を裁判でどう使うかについて、弁護士に相談することが大切です。
離婚裁判に強い弁護士事務所
離婚話が夫婦間で完結しない場合、離婚裁判にて決着をつけるのは有効な手段です。しかし、一般人が自分自身の力だけで裁判に臨むのは困難でしょう。
裁判への準備や裁判中に、自分自身をサポートしてくれる弁護士を味方につければ安心です。
全国には、多数の弁護士事務所があり、それぞれの弁護士事務所ならではの強みを持っています。
離婚を進める重要ポイント
夫婦生活を解消するために離婚を進める場合、心身ともに多大なエネルギーを使います。
夫婦間で話し合いがスムーズに行われないことも多いです。しかし、離婚を進める重要ポイントを押さえておけば、比較的スムーズに離婚を進められるかもしれません
ここでは、離婚を進める重要ポイントを5つ紹介します。感情のままに離婚を進めては、自分自身が不利な立場に陥ることがあるので、ポイントを抑えることを忘れずにいてください。
離婚意思をしっかりと伝える
離婚するか否かは、夫婦にとって非常に重要な問題であり、実際に離婚話を進めるには相当なエネルギーを使います。
そのため、中途半端な気持ちではお互いに話し合いができません。ご自身に離婚の意思があるならば、その気持ちをはっきりと伝えましょう。
離婚したいのかしたくないのか、曖昧な気持ちを伝えても話し合いが進まないうえ、夫婦関係をさらに悪化させる可能性があります。
離婚したいと伝えるに至った決め手や、離婚理由をご自身で整理してパートナーに伝えることが大切です。
相手の人格を否定しない
なぜ離婚したいのか離婚理由を明確にするためには、夫婦生活を振り返る必要があります。
その中で、言われて嫌だった言葉やされて嫌だった行動を思い出すことがあるでしょう。嫌な気持ちが蘇っても、感情のままに相手の人格を否定する言葉をかけるのは要注意です。
離婚理由を正直に伝えるのはよいですが「人として最悪」「生理的に受け付けない」など、人格を否定されると誰しも深く傷つきます。
離婚できたとしても、相手の心に傷を残してしまったり、最悪の場合、逆恨みにつながったりする可能性も否めません。
一度は夫婦になった仲ですから、相手の人格や結婚生活すべてを否定する言い方には気を付けて、冷静に話し合いを進める努力をしてください。
離婚理由を明確にする
離婚は、夫と妻の合意のもと成立するため、通常はどちらかが離婚を拒否すればな成り立ちません。
しかし、さまざまな離婚理由の中でも、法定離婚事由に当てはまる場合は、離婚を拒否することができなくなります。
離婚したい場合は、なぜ離婚したいのか離婚理由を明確にすることが大切です。離婚を切り出されたパートナーも、理由次第では言動を改善してくれるかもしれません。
離婚理由がうやむやなまま離婚届にサインを求めても、応じてもらえる可能性は低いです。
離婚理由が、法定離婚事由に当てはまる場合でもそうでなくても、しっかりと相手に伝わるよう気持ちを整理しておきましょう。
別居の準備をしておく
どちらかが離婚を切り出してからスムーズに協議離婚が進めば、比較的早く同居を解消して別居できますが、離婚調停や離婚裁判に至る場合や生活費が十分に得られない場合は、すぐには別居できない可能性が高いです。
しかし、別居の目処が立っても立たなくても、別居の準備をしておくことは有効でしょう。なぜなら、一定期間別居をした事実そのものが、法定離婚事由として認められる可能性があるからです。
裁判所の判決で、夫婦の完全な別居生活が、夫婦関係の破綻として捉えられることがあります。
どれくらいの別居期間なら法定離婚事由として認められるかは、場合によってさまざまですが、別居期間の目安は3年から5年程度でしょう。
この場合は「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」として裁判所において離婚が認められるかもしれません。
では、別居の準備とはどうすればよいのでしょうか?
具体的な方法は、子どもの有無やドメスティック・バイオレンスや虐待の有無にもよります。まずは、実家に戻るなり新居を探すなり、住まい探しを始めておくとよいでしょう。
また、どれだけ夫婦関係が悪化していても、ドメスティック・バイオレンスや虐待があり、すぐにでも逃げ出さなければいけない状況でない限り黙って家出をするのは要注意です。
民法第752条において「夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない。」と定められていますが、パートナーに何も告げずに別居を始めるのはこれに反します。
双方の合意なく別居を始めることは、法定離婚事由の「配偶者から悪意で遺棄されたとき」に当てはまり、パートナーから訴えられる可能性が出てくることを覚えておきましょう。
離婚する前に考えておくことまとめ
この記事では、夫や妻と離婚したいという気持ちを切り出す際の心構えや、離婚話を進める前に考えておくこと、実際に離婚する方法を解説しました。
離婚は、お金や子どもの問題など夫婦関係以外に話し合うべき内容が多く、とてつもないエネルギーを消費することです。
衝動的に離婚を切り出すのではなく、まずは自分自身で離婚理由を明確にし、パートナーへの伝え方を考えましょう。
また、離婚は法律が絡む問題なので、一般人では解決が難しい問題が多々あります。離婚問題の経験豊富な弁護士に協力を依頼するなど、スムーズに離婚が進む方策を考えるのも大切です。

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